黄昏の百合の骨
恩田陸
ISBN:4062123320

「麦の海に沈む果実」(ISBN:4062739275)の水野理瀬を主人公にした続編。
突然の事故により急死した祖母の奇妙な遺言に従い、イギリス留学を途中で休んで帰国し、白百合荘で暮らしはじめた水野理瀬。そこには理瀬以外に血の繋がらない伯母、梨南子と梨耶子という周囲の人々に魔女と恐れられる美しい姉妹も暮らしていた。
お互いがお互いを監視し合う緊張感のある関係の中、従兄弟である亘と稔も巻き込んで祖母が白百合荘に隠した“秘密”を探り続ける5人。
そんな中、ある悲劇が起こる。
予想通り暗くてドロドロとした世界でした。限定された空間の中で起こる事件と人間ドラマ。トリックに頼らず会話による駆け引きと真相究明。閉じられた暗さの雰囲気。恩田陸の持ち味がうまく出ていて、おもしろかったです。
今回の結末も次へとつながる感じですが、この先はもっとドロドロしそうです。まだまだ悪になりきれていない感じの水野理瀬ですが、次はもっと暗黒な人になっていくのでしょうね。
でもやっぱり恩田陸は高校生くらいまでの少年少女のドラマが一番好きです。
六番目の小夜子」(ISBN:4101234132)や「蛇行する川のほとり」(ISBN:4120033368)とか。もちろん「木曜組曲」(ISBN:4198917590)のようなテーブルに集った人々の会話だけで進められる物語もすごくおもしろいです。
次は何を読もうかな。