仕事を終えて県庁の近くにある美容室まで40分ほどかけて歩いていく。
幼馴染みの結婚式に備えて髪を切りに行く。
辿り着いた美容室は、古びた雑居ビルの3階で、ちょっと怖じ気づく。
最初に開いた扉は違う美容室で、次に扉を開くと店員らしき男の人が一人、カウンターにいた。
荷物を預けて、ソファに座らせられる。
天井にはレトロなシャンデリア、壁にはアンティーク風の鏡、アロマの香りが室内に漂っている。
おもむろに髪を触りはじめ、要望を聞き取りされる。
長さは肩くらい、縮毛矯正をかけてほしいこと、量が多いので段を入れて欲しいなど。
早速椅子に座らせられ、いきなり髪を切られはじめる。
躊躇いもなく、さくさくとハサミが髪を切っていく。
肩胛骨まであった髪はアッという間に肩までの長さになっていく。
窓の外ではお祭りのお囃子が聞こえてきて、会話もぽつりぽつりという感じで、とても静かで穏やかな空間だった。
3時間ほどで終了。
さっぱりした髪を風に揺らせながら、祭囃子を眺めつつ駐車場へ向かう。
途中、ホットドッグの屋台を見つけてついついお腹が空いていたので購入する。
歩きながらかぷりとかぶりつく。マスタードがきいてておいしい。
車に乗り込む時、お店にピアスを忘れたことを思い出したけれど、まあいいやと諦める。
また次に行った時でいいや。
まっすぐは帰らず、ショッピングモールまで行き、日曜日の結婚式の祝儀袋を探す。
ようやく見つけた金封売り場には、日曜日の結婚式の主役である幼馴染みとその一家がいた。
お互い驚きつつ近況報告などをして別れる。
帰宅すると父はすでに熟睡中。
無理矢理起こして明日も仕事があるのか確認して入浴を済ませて就寝。
頭が軽くて気持ち好い夜だった。